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2024.12.27

京の坪庭

京町家やお商家には家の中ほどに坪庭という小さなお庭が設えられております。
洛中の市中は碁盤の目のように通りが走っており
そのマスの中に寄り添うように町家が並んでおりますゆえ、
京町家は玄関の間口は狭く奥は深い、所謂『うなぎの寝床』
と呼ばれる構造になっております。

光が届きにくい奥の座敷にもほの暗く自然光を取り入れ、
四季を愛でることのできる坪庭は、我々京都人の心そのものです。

満きも130年以上前に建てられた京町家のお庭が残っており、
春は梅の花に顔を埋める鳥たちを驚かさないように眺め
夏は水を打った石に涼を感じ
秋は紅葉や楓の染めゆく姿に深まりゆく季節を思い
冬は静かに落ちてくる雪を柔らかく受ける灯籠に火を灯し
四季折々を楽しみます。

小さな坪庭ですが小さいからこそ
凝縮された美を感じられるのではないでしょうか。
その奥深い光と影に未だに心奪われます。

写真は朝食のお部屋からの1枚です。HPからの直接予約では朝食付きのプランをご用意しています。

Photo: 野口さとこ